臨床疫学(Clinical epidemiology)とは、医学における諸問題(Clinical Question: CQ)を疫学的な手法を用いて解決しようとするEvidence based medicine(EBM)の根幹を成す実践的な学問領域で、社会医学に属します。EBMの普及やデータ・サイエンスの発展進歩もあり、「臨床疫学」の需要は年々増し、国内の医系大学でも臨床疫学に関連する講座などの新設・増設が近年相次いでいますが、依然として臨床疫学研究者、特に指導者は不足しています。
そのような背景のもと、医学部、歯学部、薬学部、保健医療学部を擁する「医系総合大学」である本学の多職種連携の特色を活かし、他にはない学部横断的な「臨床疫学研究」の研究および教育の拠点として、2024年4月に昭和医科大学に臨床疫学研究所(Institute of Clinical Epidemiology: iCE)が設置されました。設置目的は、「臨床疫学に関わる研究の振興と人材育成を通じ、臨床医学における諸問題の解決に貢献し、医学の発展および国民の健康増進に寄与するため」となっております。
iCEの主な活動状況の概要を示します。まず、研究活動ですが、多くのCQについての臨床疫学研究を幅広い研究デザイン(疾患レジストリ研究、データーベース研究、システマティック・レビュー、医療経済研究、など)の手法を用いて行っています。また、人材育成活動にも力を入れており、公募・登録制の多職種連携人材育成プログラム(Showa Medical University Next Leaders in Study and Education: SmUNLiSE)の管理運営を行い、学部横断的な臨床疫学研究の次世代指導的人材の育成に努めています。2025年度からは大学院医学研究科衛生学・公衆衛生学分野と連携して大学院生の受け入れを開始しました。
今後さらにICTも活用した研究・教育環境を整備し、下記に示した協力関係にある学外の研究教育機関*や関連学会との共同研究や連携教育を促進し、EBMの発展に寄与する所存です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
*学外協力研究教育機関(順不同)
- 京都大学大学院医学系研究科社会健康医学系専攻医療疫学分野
- 慶應義塾大学経営管理研究科/医学部衛生学・公衆衛生学教室HTA公的分析研究室
- 聖路加国際大学大学院看護学研究科国際看護学
- 情報・システム研究機構統計数理研究所/総合研究大学院大学先端学術院
- 東京大学大学院医学系研究科健康総合科学科家族看護学分野
- 東京科学大学大学院医歯学総合研究科医療政策情報学分野
- 国立病院機構本部総合研究センター
- 滋賀大学データサイエンス・AIイノベーション研究推進センター
- 名古屋大学医学部附属病院先端医療開発部データセンター